乳がんの告知を受けてから2週間後。初診からは約2ヶ月が経過していました。
この日行われたのは、がんの広がりや転移の有無を調べるための「転移チェック」となる精密検査です。
1. 造影剤を使った検査の痛みと「病人」という実感
今回行われたのは、X線検査とMRI検査。血管やリンパ管を染めて詳しく診るため、点滴で造影剤を流しながらの検査でした。
これが地味に苦痛で……。薬が体に入っている最中、腰に違和感と痛みがあり、ずっと同じ姿勢で仰向けでいるのが辛かったです。
途中で腕の痛みに耐えかねて点滴をやり直してもらったのですが、後でそこが青く腫れてしまいました。
次々と増えていく腕の針跡を見て、「ああ、私は本当に病人なんだな」としみじみ感じてしまいました。
2. 胸を失うことを、ただ受け入れるしかないという諦め
幸い初期段階だったため、転移のリスクは低いと言われていました。でも、主治医からは「右胸全摘」を言い渡されています。
最初は「悪い部分を取るだけの手術でいい」と思っていました。インプラント(人工乳房)なんて考えていなかったし、自分の体の一部を使う「再建術」なんて、自分とは遠い世界の話だと思っていたのです。
病気を受け入れられないまま、自分の体の一部をどうするかという選択を迫られる時間は、あまりにも過酷でした。
「胸がなくなることをただ受け入れるしかないんだ」と、なかば諦めのような境地に陥ることもありました。
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繰り返される精密検査、そして「全摘」という避けられない現実。
病気を受け入れられないまま、自分の体の一部をどうするかという選択を迫られる時間は、あまりにも過酷です。
自分の体の一部をどうするかという、あまりに過酷な選択を突きつけられ、「胸がなくなることをただ受け入れるしかないんだ」と、なかば諦めのような境地に陥ることもありました。
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3. インプラントか、自家組織か。揺れ動く選択肢
しかし、保険が適用されると知り、少しずつ視野が広がっていきました。
• インプラント(人工乳房)
• メリット:手術時間が短く、体への負担が最小限。
• デメリット:定期的な入れ替え(再手術)が必要。人工物なので劣化する。
• 私の結論:数年おきにまた手術を繰り返すのは耐えられないと思い、選択肢から消えました。
• 自家組織による再建術(背中やお腹の組織を使用)
• メリット:自分の一部なので温かく、劣化しない。一生自分の胸として過ごせる。
• デメリット:手術が10時間以上に及ぶ。体への負担が大きく、大きな傷が残る。
4. 傷だらけの体。それでも「私」でありたい
実はお腹の組織を使う再建には、私にとって大きな不安がありました。私は帝王切開と子宮全摘で、すでにお腹を2度切っています。
「またそこに傷が増えるのか……。私の体、傷だらけじゃないか」
子宮を失い、今度は胸まで失う。
次々と自分の体が変わっていく現実に、時には投げ出したくなるような絶望を感じたこともあります。
突きつけられる過酷な現実に、ただ平穏を求めて「再建しなくても、そのままでいい」と、考えていた時期もありました」
けれど、一度失った後に「やっぱり胸が欲しい」と願っても、後からの手術は保険適用外(美容整形扱い)になってしまいます。
リスクはある。痛みも、目に見えない恐怖も、決して生易しいものではありません。
それでも、私は自分の心と何度も向き合い、少しずつ、けれど確かに気持ちを固めていきました。たとえ体に傷が増えたとしても、私は「自分の組織で胸を再建したい」。
それが、私が私として生きていくための、精一杯の選択でした。
【この記事のまとめ】
失うことが決まった右胸と、「これからどう向き合っていくか」。
それはこれまでの人生で経験したことのない、あまりにも重い決断でした。
「病変を取り除き、命を守ること」。それだけで十分だと言い聞かせていたはずなのに、いざその時が迫ると、私の心は激しく揺れ動きました。
帝王切開や子宮全摘を経て、すでに傷があったお腹を、再建のためにもう一度切る勇気。
10時間にも及ぶ過酷な手術、自分自身の姿を受け入れられるかどうかという不安、そして痛みへの恐怖。
けれど、悩んで、迷って、何度も立ち止まりながら、私は一つの答えに辿り着こうとしていました。
それは、これからの人生を「私らしい姿」で生きていくための、精一杯の選択でした。
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乳がん体験談【第9話-①】精密検査の結果。転移の有無と、私が下した「一次再建」という大きな決断
※あくまで個人の体験であり、医療的なアドバイスではありません。診断や治療については、必ず専門の医療機関にご相談ください。